ついに来る国債大破綻を乗り切れ!

2016年版(解決編)

 

 

国際情報学研究所・理事長

逢沢

 

 

(注)
・ワープロ原稿をそのまま掲載しています。画面上の形式が整わないのはご容赦ください。

・このバージョンの原稿は2016年3月15日から掲載を開始しました。銀行・証券・不動産の業種株価が異次元緩和前の水準に戻ってしまい、かつ日銀の金融政策決定会合が身動きできなかった日が開始日です。

・もし日本国債が破綻した際、ここで述べた政策の選択肢と実際の政策との落差がどの程度かにご注目ください。ここでは国民目線での解決編をご提供しています。

・生活にゆとりのない方も全文をお読みいただけるように無料ページとして掲載します。さすがに日本経済が危険な段階に達したと判断しましたので、私の方針です。

・著作権を放棄しているわけではありません。このページの内容を利用した意見を発信する方は、出典を明示してください。

 

 

執筆開始日

2014年1月2日

最終更新日

2016年3月15日(273回目)

 

 

まえがき

 

 

 わが国で累積してきた日本国債など、国の借金は1000兆円を上回ります。

 政府の借金が1000兆円という大台を突破したのは2013年半ばでした。しかも、国と地方の借金を合算すると、少なくとも1200兆円台、独立行政法人などまで含めれば1400兆円にも達します。

 それが破綻した際、どんな悲惨な生活が待ち受けているか、ご自分の資産をどう守るべきか、国が講じるべき真の方策は何かなどを詳しく解説しています。皆さんの資産を守る方法は、第4章をお読みください。

 日本国債の破綻にけっして負けないためのページです。本ページの2014年の旧版は、建設的な内容を評価していただきましたが、この新版ではさらに考えを進め、その論旨を「警告から希望へ」と大きくカジを切りました。

 皆さんを守るための「国民の知恵」を述べました。たとえ国債が破綻しようとも、それを乗り切れる解決編≠ノ相当する内容です。

 

 日本の個人金融資産は、約1600兆円です。国債を買う資金が尽きるまでに、まだ数年の余裕があるとみなされてきました。しかし個人金融資産は、年金の資金や各種保険などを含みますし、企業融資や個人の住宅ローンなどの原資ともなっています。

 一方、企業の内部留保といわれる現預金も200兆円を超えますが、企業への融資額がそれを上回って、完全に相殺されています。つまり、日本国民の資産のすべてを国の借金に回すわけにはいかないのです。

 しかも、国債の大暴落によって、そのほとんどを国にまき上げられてしまったとしたら、あまりにも許しがたい暴挙です。

 旧版の主要な論旨は、「市中にある日本国債の半分以上が、いまや破綻前に償還できない状態にある」というものでした。売りたい側と買いたい側の多数決を取るなら、売り手がもはや優位に達してしまいました。2014年の秋以降は、いつ破綻してもおかしくない時期に入ったのです。

 

 その警告に対処するかのように、日銀は強力な対策へと動きました。いわゆる「異次元緩和」をさらに強化する追加緩和によって、日銀が買い込む国債を年80兆円規模に拡大したのです。それが現実に行われたため、旧版の警告が正しかったのだ、という評価をあちこちでいただきました。

 ただ、日銀はまるで間違った対策を行ったのだ、と強く警告しておきたいと思います。重大な事態を単に先送りしただけで、国民の危機をますます深めたというべきです。「国民は日銀と心中しろ」と強要されたような金融緩和策だったのです。

 日銀はいくらでもお札を発行できるはずだ、と誤解されがちですが、けっしてそうではありません。厳密なツジツマ合わせをすると、日銀が買った国債は、皆さんの預金がその原資となっています。国債が暴落した際には、皆さんの預金が失われてしまいます。日銀の愚策は、皆さんの損失を増額したも同然でした。

 この新版で警告しておきますと、「2016年春」以降は、いつ破綻してもおかしくありません。予測も不要なほど危急の時期に入りました。もしこのページを読まれたとき、すでに破綻しているなら、その最大の原因は、償還前の大量の国債と政府・日銀の愚策の数々です。

 

 ただし、それでもまだ乗り切る方法があります。本ページの主題は、「国の借金を真に削減する方法」を正面から提案することです。皆さんの年金や預貯金も救います。

 超低金利時代があまりにも長く続きすぎて、年金も預貯金もまともな運用が困難と化して、皆さんの未来を非常に暗いものにしていました。しかし、まともな政策に戻しさえすれば、まだかなりの程度まで回復可能です。残念ながら失われた部分はありますが、皆さんの社会保障を守りきることができるのです。

 一般の方向けのページですから、「2つの未来」を対比する記述法を採用しました。「最良の政策」が採用された場合と、「最悪の政策」が採用された場合の対比です。

 最悪の政策は、戦後すぐに実際に採用されました。国債は紙クズと化し、激烈なハイパーインフレ(超インフレ)が襲い、皆さんの預貯金は預金封鎖によってほとんどが失われました。過去に実施された政策ですから、現在の政府が踏襲しかねない悪魔の政策≠ネのです。

 

 2014年初めからインターネット上で公開執筆を始めて、やがてグーグル検索の「国債破綻」で、約261万件中の1位になりました。もし少しでも読む価値があると思われましたら、ぜひこのページにお付き合いください。できるだけ易しい表現を用いました。

 ご自分の資産の守り方は、安全を最重視した方法をできるかぎり広範囲にご提案しています。本ページの内容をヒントにされて、ピンチをチャンスに変える方法をお考えいただいて結構です。このページの立場は、「個人が勝たねば、国家も勝てない」というものです。

 日本を救うための真剣な論説ですが、部分を取り出せば、当然ながらこの国のさまざまなリスクを細かく記載しています。そこだけを読まれて、危機をあおっているのかと誤解されたくはありません。リスクを詳しく検討するからこそ、強力な救済の道をも自ずから見いだせるというページです。

 過酷きわまる「積極破綻策」や「国民窮乏化策」に正面から対抗できるページとしてお読みください。もし狂乱物価が起こったりすれば、それは政府が仕掛けた陰謀だ、と重ねて警告させていただきます。

 

   2016年2月

逢沢 明


 

 

第1章 借金王の政府に宣戦布告し、国民の大損失を取り戻せ!

 

 

  日本国債が破綻へ至る道はどん詰まりまで来ました。「国民の知恵」によって、政府に宣戦布告しなければなりません。日本の放漫財政の最終的解決策、皆さんの将来への深刻きわまる影響などを客観的なデータから指摘します。国民は是が非でもこの危機を乗り切らねばなりません。


 

知恵足らずの政府に宣戦布告≠

 

 宣戦布告というタイトルで始めましたが、「知恵による宣戦布告」という意味です。もちろん無血です。

 政府があまりにも知恵足らず≠セとみなす方々が多いでしょう。恐るべきリスクが迫り来る「日本国債の破綻」という事態を、衆知を結集して乗り切ろうとするページです。

 知恵足らずの政府が、かえって日本経済の復興の足を引っ張ってしまいかねません。その現状を正しく認識しようとするところから議論を始めます。

 警告しておきますと、政府が最も知恵足らずだった場合、国の借金をチャラにするために、皆さんの資産のほとんどを失わせ、日本企業も国内の不動産も超安値で海外に売り払ってしまいかねません。まったくの売国的行為です。あるいは、皆さんの人権を制約するなどの愚挙の恐れも否定できないでしょう。

 

 よくご存じでしょうが、国の借金はおよそ「1000兆円」です。もっと詳しい数字では、地方自治体を加えて、公式発表でおよそ「1200兆円」です。さらに独立行政法人などまで合算すると「1400兆円」ともいわれます。

 中央政府だけの総額を表にお示しします。私の書籍版『国債パニック』(かんき出版)には2013年6月末の公表値を掲載しましたが、それと比べてたった1年半で「72兆円」も増えました。

 国の借金の合計は、なんと16桁もの金額に達しています。1万円札を横並びにすると、すでに1700万キロメートル近くで、地球400周分以上になります。

 数字をご覧になってわかるように、政府はこざかしい悪知恵≠セけは絞り出しているようです。本来、新規国債の発行額をどんどん減らす計画でした。しかし、皆さんが思っているよりも借金額がもっと増えているのですから。

 

図表 2015年末の政府の借金

  ―――――――――――――――――――

  国債       902兆2005億円

  借入金       55兆0513億円

  政府短期証券    87兆3386億円

  ―――――――――――――――――――

  計       1044兆5904億円

  ―――――――――――――――――――

(出典)財務省のデータによる

 

 

プライマリーバランスと前倒し債というまやかし策

 

 政府は「プライマリーバランス(基礎的財政収支の均衡)」を目指しています。借金を増やさないという語感を含んでいるだけで、一種のプロパガンダ(政治宣伝)に類する標語として使われています。語感のみをアピールしつつ、2020年度へ向けた達成計画は順調だと公表され続けてきました。

 しかし、ご存じない方が多いのでしょうが、実はプライマリーバランスは、「国の借金はさておき」という目標なのです。借金部分以外を見かけ上だけは均衡させようとしているのです。

 国の借金の総額は増えなくなるという幻想を与えますが、実際は増え続けます。借金の「利払い費」程度が増え続けるのです。2016年度予算では、それは「10兆円」ほどです。わざと利払い費を無視した計算法を採用しているということです。

 

 しかも、「前倒し債」というさらなる悪知恵までが隠されています。「翌年度の発行分を前倒しして発行してしまう」という仕掛けです。プライマリーバランスは目標どおりだと発表するために、差額≠翌年度分だとごまかすトリックです。

 前倒し債は以前から発行されていて、だんだんと増えていました。2015年度は32兆円という予定が、いつの間にか44兆円に増やされ、2016年度予算はさらに48兆円にも激増しました。これほどの巨額が隠れ借金にされてしまっているのです。

 国は借金まで前借りして、当座の運転資金を確保しているのです。名目上は新規発行ではなく、借換債を早めに発行しているだけという口実を使っています。しかし、国債の償還も前倒しするのでなければ、見かけのプライマリーバランスの穴埋め分だと考えざるをえないでしょう。

 

 実は、2016年度の国債発行の総額は「147兆円」にも上るのです。たとえば、10年物国債は、10年後に償還されて全額が消えるのではありません。60年間かけて徐々に元金を返済する仕組みです。そのため、大量の借換債が発行されます。それらを合算すると、2016年度分だけでもこんな巨額に上るということです。

 インチキめいた手口の数々は、ナチスドイツの軍事費調達と類似している、と背筋を震わせる人々がいます。ナチスが歴史にひどい汚点を残したのは、「音なし」と呼ばれた詐術によってでした。国民がまったく知らないうちに、国債をどんどん中央銀行に買い取らせて、いくらでも現金に換金させていたのです。

 

 

国が借金で首が回らない真の理由とは

 

 このページの第2章と第3章では、政府債務の詳しい分析を行いながら、国債破綻後の「最悪ケース」を予想します。戦時国債の戦後処理においては、国民にとって残酷そのものの政策が実行されましたし、財政破綻したロシアの状況もきわめて過酷でした。

 また第4章では、最悪ケースに打ち勝つために、皆さんの資産防衛法の概略をご説明します。他の本などに見られない安全策と現実策に徹していて、どなたでも実行できる方法であることが特徴です。

 それに先立つこの章で述べるのは、「最善ケースは可能か」という内容です。類書を読まれても、すでに万策尽きたと絶望されるかと存じますが、この第1章に「希望への道」をまず記載しました。国の借金の背景にある根本問題を分析して、打開しようとする章です。提案は第5章へと続きます。「国民の知恵」によって皆さんは救われると信じます。

 

 「国民の知恵」を発揮するには、まずなによりも、なぜ国が借金で首が回らなくなっているのか、まずその最大の理由を突き止めておかなければなりません。このページは正攻法で攻めます。

 悪知恵は最大の理由を「社会保障費の膨張」といいます。しかし、年金も介護も健康保険も、私たちが税金とは別途に多額を徴収されていて、それを主な原資としています。それ以外に、国は補助的に予算を組んでいるのです。

 しかも、高齢者の年金を減らせという風潮に、うっかり若者が乗ってしまうのはきわめて危険です。その結果、「若者たちが将来受け取る年金まで減らされてしまう」というワナが待ち受けているのです。それには十分すぎるほどご注意ください。

 そもそも税金は、国民である皆さん自身が支払ったものです。税金は皆さんのために使われるのが大原則で、取られ損に終わる性質のものではありません。社会保障は充実しているほどよいのです。

 

 さて、国がばらまいているカネは、ざっと年間「200兆円」にも上ります。名目GDP(国内総生産)が「500兆円」ほどですから、なんとその「4割」です。かつてはお上と呼びましたが、現在は「一般政府」と呼びます。国と地方および社会保障基金などの合算が、GDPの4割です。すなわち社会保険料も含んだ総額が200兆円です。

 多くの皆さんは気づかれないものの、実質の税率はこの日本で非常に重いです。国の所得税以外に、地方税として住民税を10%以上取られますし、隠れた税金である年金・介護・医療でも目をむくほど引かれます。

 GDPの4割を国が使うのですから、中間層という最も人口が多くて税金を取りやすい層からは、実際に4割程度を徴収されています。しかも、年金生活者層までがそれに似た負担を強いられています。

 他方、株式取引や配当などで潤う不労所得層は、もしも何億円も収入があった場合も、2割程度しか税金を払わないですみます。

 そんな矛盾がありますが、国の借金が減るなら、皆さんの実質的な税負担も減り、社会保障も改善される可能性があります。本ページでその試算をお示しします。皆さんにはまだ希望があります。悲観的にならなくても、正面から政府の放漫財政という伏魔殿≠ノ斬り込んでみます。

 

 

経済大国幻想が生んだ巨額の負の遺産

 

 大きな屋敷に住んでいるのに、生活費は少額の年金しかない人々がいます。屋敷が大きいことが、かえって生活を困窮させます。分不相応なほどの維持費がかかってしまうからです。固定資産税だけで生活費の何カ月分かに相当するなどです。

 古代からそんな状況が繰り返されてきました。ローマ帝国はヨーロッパとオリエントに道路網を張り巡らした結果、その維持管理と警護の負担にあえぎました。やがてキリスト教によって多神教世界から塗り替えられていきますが、衰退は経済上の問題が真因だったという説に合理性があります。

 また、幕末の江戸幕府も財政難で、滅びる運命に直面していました。浦賀に黒船が来航したとき、幕府側の大砲には砲弾がたった16発しかありませんでした。今日に伝わる「三一(サンピン)」とは下級武士の蔑称ですが、彼らは年給3両と一人扶持(コメ5俵)という貧窮にあえぎました。時代の末期における典型的な窮状です。

 

 現代日本の場合、勇断をもってすれば、そんな窮状にまだ対処可能だという試算が可能です。しかしながら、財政破綻が現実とならないかぎり、政府は真の患部へまともにメスを振るえないのかもしれません。極度の制度疲労¥態に陥った国だからです。

 本ページは正攻法ですから、もちろん「公共事業」という最大の伏魔殿への正面攻撃を図ります。試算してみせれば、「やっぱりそうだ。自分もそのはずだと思ってたんだ」と誰しもおっしゃることでしょう。

 しかし、そんな試算は誰もできるはずがない、私ごときにできるのかといわれそうです。実はそれができる数少ない一人なのです。意外でしょうが、1990年代後半に、旧建設省の技術政策委員を務めていました。伏魔殿の内部にまで潜入していたのです。しきりに霞が関へ通わされていました。

 ただし、けっして御用学者ではありません。委員の人選はそこそこ満遍なく行われます。私は建設畑の利害関係者ではないため、ご意見番という少数派の役割だったといえばよいでしょう。

 そんな会議で、私は建設官僚たちの最大の悩みを聞き出しました。「近いうちに、公共インフラの維持管理費が、建設予算を上回る」というのです。新規の公共事業よりも、既存のインフラを維持する費用が上回るというのでは、日本はもはや末期的状態に陥りつつありました。

 

 近年のわが国の公共事業に関する窮状を概観しましょう。ただし、一種の伏魔殿ですから、金額は推計に頼らざるをえない部分が多々あります。当時の建設官僚たちも推計に頼ったはずで、最終的にそれとかなり一致するかを、過去のデータに頼らないで概算してみます。

 内閣府の「国民経済計算」によれば、2014年末に、一般政府の固定資産は「約483兆円」です。土地は別に集計されていて「約117兆円」です。合計すると「600兆円」にも達します。

 これらは、公共的な建物などの箱モノや道路などが主です。いわば経済大国の負の遺産≠ニしてのしかかっている資産の総額だといえます。売るに売れないものがほとんどです。なお、固定資産という枠組みですから、機械類なども含むデータであることをお断りしておきますが、要するに税金で購入したものです。

 それらには巨額の「維持管理費」や「改築費」などがのしかかります。身の丈に合わない負の遺産が累増するにつれて、維持費用が膨大な額に水膨れし続けるのです。修理費だけでなく、維持管理のための人件費もまた膨れ上がります。

 私の常識的な知識では、箱モノの維持管理費は、「2030年」で建設費と同額規模に達します。維持管理という名目ですから、公共事業費の枠外の支出項目として、予算では隠されてしまいます。

 皆さんもご自身の住まいで試算してみればよいのです。リフォーム費、固定資産税、マンションなら管理費などが必要です。そして、家庭で漏れているのが人件費です。掃除などの委託費用を上乗せしてみてください。何十年分か合算すると、全国平均程度の建物価格を上回るでしょう。

 

 

恐るべき維持管理費と建て替え費の国民負担

 

 たとえば、東京都庁舎を例にしましょう。1990年の完成時には「バブルの塔」(バベルの塔をもじった表現)とも揶揄(やゆ)されました。総工費は1569億円でした。バブルの遺産の典型ですから、維持管理費が報道されることが多かった建物でもあります。

 探してみると、2008年度の維持管理費のデータが、たまたまグーグルのキャッシュ(検索ページ貯蔵システム)に残っていました。

 単なる維持補修費がこの年度に50億円です。さらに人件費などが積み上がるため、年間約82億円のコストがかかっていることが記載されていました。つまり、2030年で建設費と同規模に達します。

 しかも、2006年2月21日付の朝日新聞夕刊の記事を、私が保存していました。完成15年で都庁舎は雨漏りに悩み、天井板を1枚はがせば、青いバケツとビニールシートの状態。設計が奇抜だったのがネックとなって、雨漏りの修理だけでなんと1000億円もかかるというのです。恐るべき常識外れの数字です。

 

 さまざまな箱モノやインフラなどがありますが、新たに建造し直すとなると、前回よりもはるかに巨額の費用を要します。たとえば、50年以上前の1964年に完成した東海道新幹線は、総工費がたった3800億円のプロジェクトでした。1キロメートル当たり7億4000万円弱にすぎませんでした。

 一方、近年の北陸新幹線は長野−金沢間だけでも、1兆7800億円を要しました。1キロメートル当たり78億円もかかっているのです。工事単価は約50年で10倍以上にはね上がったのです。

 つまり、土木建設事業の場合、50年程度で建て替え計画が動き出すと、過去の建設費の10倍以上もかかる恐れがあるのです。

 

 経済大国幻想から抜け出せない元首相は、「新国立競技場に3000億円ぐらいは出せるでしょ」と押し通そうとしたために、日本中から大バッシングを受けました。世界は500億円程度が相場ですが、日本は減額しても1500億円と見積もりました。しかも、完成までに予算の2〜3倍以上かかってしまう公共事業もあるのです。

 この新国立競技場の維持費は、50年間で1000億円だと、事業主体の日本スポーツ振興センター(JSC)が算出していて、本当にそうできるなら世界の相場並みです。しかし、当初の見通しをごく低めにしつつ、後で予算を過剰に請求するのが常態化しています。やがて目をむくほどの国民負担が発生しないように願います。

 

 

 

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